第 91 話 あんたこの トラピストクッキー をどう思う |
脚
本家 戸塚 ニコルソン
あらすじ:
品川沖で中村主水の死体(中丸忠雄)が発見された。自らの死体を見て驚く主水。その当惑が冷め遣らぬ内に奉行所に呼び出された彼に鳥居耀蔵・左(志村喬)は「死んだ人間に禄を払うことは出来ん」と非情な申告を告げる。そして「あくまで自分が生きていると言い張るのなら、その証拠を見せてみろ」「期限は十日。それまでに証拠を差し出せなければ、貴様は死ぬまでタダ働きだ」鳥居耀蔵・右(清水紘次)と鳥居耀蔵・中央(米倉斉加年)の強硬な姿勢に自分探しを迫られる主水。机(ロイ・シャイダー)の中を探しても鞄(吉田兼好)の中を探しても見つからない。あまりに見つからないので自分が教科書(ティーガーT型)に変身すればいいと思いつくのだが、もう自分が学校(森林太郎)に行かなくてもいい歳であることに気付き、仕方なく鳥居耀蔵・スイッチ(岸田森)に相談する。「なるほど、今こうして目の前に居て口を聞いているのだから生きているとも言えるが、しかし死体が見つかった以上は死んでいる筈、という訳だ、難しいトンチだねぇ。さしずめ今の君は、そう、幽霊のようなものだな。うん、幽霊。そうだ。伊豆へ行こう、レッツゴォ!」となしくずしに伊豆へ向かう車中で出会ったのは鳥居耀蔵・立体派(伊藤雄之助)であった。飛脚問屋・三船屋の一人息子と取り違えて鳥居耀蔵JR(沢村いき雄)を誘拐した犯人(大田光)は千両箱を車窓から投げ落とすよう指示したのだと言う。そして千両箱の中には特技を活かして体を折りたたんだ鳥居耀蔵アラジン(田口計)が潜んでいるとも。犯人が千両箱を手にすれば事件は一気に解決するかに見えたが、列車はトンネル内で落盤に巻き込まれてしまう。事故か?はたまたこれも犯人の策なのか?そして重傷を負った鳥居耀蔵・三倍録画(グレタ・ガルボ)に死が迫る!「輸血さえ出来れば…しかし患者の血液(B型RHトリイ)は非常に特殊なもので…」鳥居耀蔵・二階角部屋日当り良(田宮二郎)も匙を投げるのだが、しかしそこで主水が、「おれたちは何か重大な間違いをおかしているのではないか」と気付き始める。 |
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- 戸塚 -
「知ってるかい、こういうのエゲレスじゃぁこう言うんだぜ―」ネチっこい台詞が記憶に残るモルグ屋兵衛(佐藤春夫)を演じた佐藤春夫(太宰治)氏は、この役にが印象的であったと後に語っている。「なんて言うかな、ペシミストだしペダンチックだし。脚本には無いけど、落伍者のイメージですよね、侍くずれなんじゃないかな。世を拗ねて、ただの放蕩をテロリズムって嘘をついて、自分でもそれを信じ込んじゃったら、気付いたら人殺しになってた、って。そんなんだから、傍目には悪党か愚者に過ぎないんだけど、心理を考えてみるとすごくウェットで、そうだなぁ、そういう…少年から見て憧れる青年の「影」なんじゃないかな。私自身、その「影」に憧れている面が残っていたように思うんですね、しかし、テレビ世代の申し子なもんだから(苦笑)、(「影」を)持っては居なかった、ゲバ棒を振り回した事もないしね(笑)。だから、出番はとても長いものではないけど、この役を通して何か吹っ切れた、確信犯的に演技できるようになったと思うんです」(シネマ個性派ランド(草野大吾)より抜粋) |
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